コンセプト
お客様が抱くイメージは、町屋でした。
金沢の町並みを形成する黒瓦、そして千本格子。
このイメージを、どのように活かしてゆくか、
このイメージの住まいに、どのように暮らしてゆけるかが設計、デザインのポイントとなりました。
アプローチは、飛び石をコンクリートで再現。 高低差のある敷地のため、一段一段に段差をつけ、アプローチを通る人々に楽しさを与えています。
正面から見えるくし引き左官仕上げの壁。その奥に、正面から見えぬよう
引き違いの玄関戸を配置しました。
洗い出しの床は、かつて日本の住まいの定番でした。
この懐かしい洗い出しを、現代の住まいに再現。年数を経るごとに、美しく落ち着いたものになってゆくでしょう。
通常の柱と同じ大きさの付け柱を取り付けることにより、ダイナミックな正面デザインとし、
さらに正面から見える窓にはすべて開閉式の千本格子を付け、町屋
の雰囲気、重厚感を出しています。
格子をがカーテンの代わりになり、情緒ある影が室内に広がる
40cmの高さがある畳敷きの「こあがり」は、椅子と同じ高さであり、
カウンターの下に足を入れ、くつろぐことができます。
タモの無垢材
を使ったカウンターをL字形に配し、こあがりからはもちろん、
椅子を使い、ダイニングテーブルのかわりにもなります。
キッチンはあえて魅せるものに。
ステンレス加工の技術、そしてその機能を、リビングデザインの一部としました。
ソファの前に作られるテレビボードは、お客様が持っていた懐かしいステレオにその大きさ、
デザインをあわせて家具職人が製作。
既成品とはまったく違う存
在感、統一感があります。
黒漆喰の階段壁、家具職人がこの家のために作った玄関収納、アイアン職人が作る手摺。
玄関の床は、あえて大きな段差を設け、二段で登るスタイルに、
天井の高い玄関に変化を与えるだけでなく、38センチメートルあるこの段差を腰かけとして利用でき、
小さな子供や、ブーツを履く女性、そして、お年寄りにも使いやすくなっています。
懐かしさを感じさせる大和塀とし、道路からの視線を遮ります。
夕暮れ時、真っ赤に染まる造成地を借景に、ゆったりくつろぐひとときを、自宅に居な
がら感じることができます。
名称:快楽住宅 O 邸
住所:石川県白山市